今回は、大山誠一郎氏の『時計屋探偵の冒険:アリバイ崩し承ります2』(2022)に収録されている傑作短編「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」を、とある作品との関係でごく簡単に取り上げる*1。
その「とある作品」とは1983年刊行の長編である。ここではそれ以上のことを書くのは控える。その名を挙げることさえ、一方の作品しか読んでいない人にとっては他方の作品の興趣を削ぐことになりかねないからだ。その長編の見当がついた方(あるいはネタをバラされても構わないという方)は続きをお読みいただきたい。
【以下、2作品の真相に触れる。】
*1:先の記事の最後に、「次の投稿では、『〔ブラウン神父の〕無心』を中心に据えたときに見えてくる「探偵小説の形成と構造」のネットワークを提示する」と述べたが、このネットワークに関しては論文として呈示することを考えており、ひとまずブログでの投稿は保留としたい。