2022-01-01から1年間の記事一覧
総合法令出版より刊行された『すごい哲学』に、ジャン=ピエール・デュピュイの「賢明なカタストロフ論(破局論)」を紹介する項目、「なぜ『あり得ないこと』が起こってしまうのか?」を執筆した。参考文献は本に記載した通りだが、この項目執筆に際して、…
今回取り上げるのは、笠井潔氏の矢吹駆シリーズ第五作『オイディプス症候群』(2002)、及び第六作『吸血鬼と精神分析』(2011)である。以前論じた『哲学者の密室』(1992)のロジックと事件構造を出発点に据え、これら二作品がどのようにそれを展開、ない…
今回はアガサ・クリスティーの『杉の柩』(1940)を取り上げる。霜月蒼氏いわく「人気作品」*1である本作には、確かに全盛期クリスティーの、豊かな技巧の開花が見出されるように思える。ここではこの作品の伏線、ミス・ディレクションといった「叙述」の側面…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』の要約をこれまで連載してきた。昨日の第17回が最後の投稿である。これまでの投稿だけでは著作の全体が見えにくいため、各記事に飛べるよ…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は最終第14…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第13章を…
今回取り上げるのは、アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で出した『春にして君を離れ』(1944)である。本作は『カーテン』や『五匹の子豚』などと並んで、かの女の絶頂期に書かれた恐るべき傑作である。 この記事では、本作をあくまでも「…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第12章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第12章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第11章で…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第10章の…
今回取り上げるのは、アガサ・クリスティーの1937年の作品『もの言えぬ証人』である。長編作品としては、以前論じた『ナイルに死す』一つ前の作品であり(刊行は同年)、本作も無論のこと優れた、面白い作品である。ただ、かの女の「全盛期」の作品群に比べ…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第10章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今日は第9章で…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第8章を…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第7章で…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第6章で…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第5章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第5章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第4章の…
実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者ジャン・カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、本日は…
昨日より始めた、実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者ジャン・カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003…
思うところあり、今日から、実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者ジャン・カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, F…
今回は笠井潔氏の矢吹駆シリーズ第四作、『哲学者の密室』(1992)を取り上げる。多様に論じうる原稿用紙三千枚のこの大作の中で、ここではとある一点 ー 探偵小説としてのロジックの中心をなす箇所 ー に着目し、いかにして探偵小説と思想論とがそこで巧み…
今回は、大山誠一郎氏の『時計屋探偵の冒険:アリバイ崩し承ります2』(2022)に収録されている傑作短編「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」を、とある作品との関係でごく簡単に取り上げる*1。 その「とある作品」とは1983年刊行の長編である。ここではそれ…
今回は笠井潔氏の矢吹駆シリーズの第二作目にして傑作『サマー・アポカリプス』(1981)を取り上げる。前回『バイバイ、エンジェル』を論じた際は、このシリーズ第一作目が通常扱われる際のサブジャンル=「首なし屍体もの」とは、敢えて異なった視点から考…
今回取り上げるのは鮎川哲也の『りら荘事件』(単行本1958)である。この長編は紛れもない傑作であり、それどころか、同著者の『黒いトランク』(1956)と並び、探偵小説というジャンルの最高峰に位置する作品と言える。この作品を、最近の複数の記事に共通…
今回取り上げるのは、アガサ・クリスティーの名高い秀作『ABC殺人事件』(1936)である。 クリスティーのポアロものには本作を含め、きわめて有名な作品が3作(名を挙げるまでもないだろう)あるが、クリスティーを読めば読むほど、かの女の全盛期はこれらの…
エドガー・アラン・ポオの古典的傑作「盗まれた手紙(The Purloined Letter)」(1845)を原文で読み直した。前回の投稿でチェスタトンの『ブラウン神父の無心』とこの作品の関係に触れたが、改めて今回、ポオの再読を踏まえて両者の関係を明示化したい(し…
この記事は先日投稿した、チェスタトン『ブラウン神父の無心』に関する記事の補足である。可能であればそちらを先にお読みいただきたい。この記事の内容は、(1)前回触れた、本作における「隠すこと」及び「見えないこと」に関するトリックの内実をより明…