Superposition de la philosophie et de ...

中村大介による哲学と他のものを「重ね合わせ」ていくブログ。目下は探偵小説の話題が中心になります。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

あるトリックの遍歴:アガサ・クリスティー『白昼の悪魔』を中心に

これまでアガサ・クリスティーの諸作品を、「叙述」面に主にフォーカスして分析してきた。叙述や記述がこの作家の大きな特徴である以上、こうしたアプローチは間違ってはいまい。だが、そろそろクリスティー作品における「トリック」について検討してみたい…

ホワットダニットへの助走:アガサ・クリスティー『書斎の死体』

2023年最初に取り上げる作品は、アガサ・クリスティーの『書斎の死体』(1942)である。本作を幾つかの先行作品と比較・検討する作業は興味深いものと思われるが、本記事ではまず簡単に、この秀作の特筆すべき点を取り上げておきたい。 参照するのはクリステ…