Superposition de la philosophie et de ...

中村大介による哲学と他のものを「重ね合わせ」ていくブログ。目下は探偵小説の話題が中心になります。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

記号の不在、あるいはネガティブ・クルー:クイーン『スペイン岬の謎』と『中途の家』

エラリー・クイーンの諸作品で、あるべきものが「無い」ことが手がかりとなるという、いわゆる「ネガティブ・クルー」が重要な役割を演じていることは、既にフランシス・M・ネヴィンズによっても指摘されている*1。ここではこの「ネガティブ・クルー」に関連…

批評的な名探偵:城塚翡翠について

私は相沢沙呼氏の作品『medium』および『invert』で活躍する探偵・城塚翡翠のファンである。ここでは探偵小説というジャンルにおける彼女の特殊性について、この探偵の核心に触れつつ書いていくことにする。未読の方は注意されたいが、「なんだ、作品を読ん…