Superposition de la philosophie et de ...

中村大介による哲学と他のものを「重ね合わせ」ていくブログ。目下は探偵小説の話題が中心になります。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

技巧の開花:アガサ・クリスティー『杉の柩』

今回はアガサ・クリスティーの『杉の柩』(1940)を取り上げる。霜月蒼氏いわく「人気作品」*1である本作には、確かに全盛期クリスティーの、豊かな技巧の開花が見出されるように思える。ここではこの作品の伏線、ミス・ディレクションといった「叙述」の側面…

【目次】フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』の要約をこれまで連載してきた。昨日の第17回が最後の投稿である。これまでの投稿だけでは著作の全体が見えにくいため、各記事に飛べるよ…

「無名5号」—フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約 (17)

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は最終第14…

試煉の時—フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約 (16)

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第13章を…

コペルニクス的転回とその先:アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』

今回取り上げるのは、アガサ・クリスティーがメアリ・ウェストマコット名義で出した『春にして君を離れ』(1944)である。本作は『カーテン』や『五匹の子豚』などと並んで、かの女の絶頂期に書かれた恐るべき傑作である。 この記事では、本作をあくまでも「…

逮捕一週間前、パリでの会話—フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約 (15)

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第12章の…

「自由フランス」との接触—フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約 (14)

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第12章の…

収容所からの脱走—フェリエール『カヴァイエス:戦中の哲学者』要約 (13)

実姉ガブリエル・フェリエールによる数理哲学者カヴァイエスの評伝『ジャン・カヴァイエス ― 戦中の哲学者 1903-1944』(Gabrielle Ferrières, Jean Cavaillès. Un philosophe dans la guerre 1903-1944 [1950], Paris, Félin, 2003)の要約、今回は第11章で…