Superposition de la philosophie et de ...

中村大介による哲学と他のものを「重ね合わせ」ていくブログ。目下は探偵小説の話題が中心になります。

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

役柄と俳優が重なるとき:相米慎二監督『セーラー服と機関銃』

授業の関係で、相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』(1981)のラストシーンを改めて観た。観直して少し思うところがあるので、以下簡単に書いてみたい。 *シーンの内容に言及するので、未見の方は注意されたい。 この有名な場面で、薬師丸ひろ子演じる星…

無化の経験、あるいは謎の存在論:島田荘司『占星術殺人事件』

今回取り上げるのは、探偵小説史上の名作、島田荘司の『占星術殺人事件』(1981)である。島田がどれほど思想的な問題を抱えた存在に現在なっていようと、控えめに見積もって、彼が一九八〇年代以降もっとも重要な探偵小説作家の一人であることに疑いはある…