Superposition de la philosophie et de ...

中村大介による哲学と他のものを「重ね合わせ」ていくブログ。目下は探偵小説の話題が中心になります。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

時を越えた継承:大山誠一郎『時計屋探偵の冒険』

今回は、大山誠一郎氏の『時計屋探偵の冒険:アリバイ崩し承ります2』(2022)に収録されている傑作短編「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」を、とある作品との関係でごく簡単に取り上げる*1。 その「とある作品」とは1983年刊行の長編である。ここではそれ…

「見立て殺人」の一到達点:笠井潔『サマー・アポカリプス』

今回は笠井潔氏の矢吹駆シリーズの第二作目にして傑作『サマー・アポカリプス』(1981)を取り上げる。前回『バイバイ、エンジェル』を論じた際は、このシリーズ第一作目が通常扱われる際のサブジャンル=「首なし屍体もの」とは、敢えて異なった視点から考…

ある反転的展開:鮎川哲也『りら荘事件』

今回取り上げるのは鮎川哲也の『りら荘事件』(単行本1958)である。この長編は紛れもない傑作であり、それどころか、同著者の『黒いトランク』(1956)と並び、探偵小説というジャンルの最高峰に位置する作品と言える。この作品を、最近の複数の記事に共通…